【2023年1月最新】アルコールチェック義務化について知るべきこと
2022年4月1日より施行された改正道路交通法施行規則では安全運転管理者に対して、 運転者の酒気帯びの有無(アルコールチェック)を目視で確認することが義務付けられました。しかし具体的にはどのようなことをすればよいのかわからない人も多いのではないでしょうか?
この記事では「アルコールチェック義務化」について詳しく解説していきます。
\制度の基礎から対応方法などを解説!/
アルコールチェック義務化とは?
国土交通省は、飲酒運転およびそれに伴う重大事故撲滅に取り組んでいます。車両運転業務に携わる労働者にアルコール検知器の使用義務を課しています。
これまでは運輸・旅客運送業に携わる者であれば、「緑ナンバープレート車」を対象にアルコール検知器を使用することが必須でした。ただし、2022年4月からは、「白ナンバープレート車」も対象となり、同様のチェックをすることになりました。白ナンバープレートは、会社や商用車など通常の個人所有の車を指します。その結果、今まで該当しなかった企業がアルコールチェック義務化の対象となりました。
アルコールチェック義務化の延期
警察庁は2022年10月から「白ナンバープレート車」もアルコールチェック義務化の延期を決定しました。半導体不足の影響でアルコール検知器の需要が供給に追いつかず、各運転手に行き渡ることが難しい状態でした。現状いつ供給ができるようになるかはわかっていません。延期期間は「当面の間」となっています。
アルコールチェック義務化となった背景
2021年6月千葉県八街市で飲酒運転のトラック運転手が小学生5人を死傷させる大事故が起きました。それ以降、白ナンバープレート車もアルコールチェックを義務化する検討がはじまりました。
事故以前は白ナンバープレート車は検査の対象外でしたが、二度とこのような事故が起こらないように、安全対策として安全運転管理者の任命やドライバーのアルコールチェックの実施などの法整備が進みました。
アルコールチェック義務化の対象企業
下記項目に該当する企業がアルコールチェック義務化になります。
- 座席数が11席以上の白ナンバーの車を1台以上保有
- 白ナンバー車5台以上保有
※事業所当たりの台数
※二輪車は0.5台として換算
アルコールチェック義務化項目【2023年1月時点】
2022年4月から、以下2つのことを確実に行う必要があります。
- 運転の前後に飲酒していないことを視覚的に確認
- その結果を記録して1年間保持
2023年1月時点では、アルコール検知器によるチェックの義務はありません。
安全運転管理者は、アルコールチェックの実施の責任を負います。各事業所の実態を把握する必要があり、迅速かつ効率的にチェックできるシステムを整備することが重要です。管理が容易になり、チェックが適切に行われるようにしなければなりません。
当初は2022年10月から常にアルコール検出器を携帯することが義務付けられていましたが、「当面の間」延期となっています。しかし、いつかは義務化となるので事前に準備をしておきましょう。
国家公安委員会は、各事業所にアルコール検知器を設置し、遠隔地で作業するときはドライバーに飲酒検知器を携帯させるなど、従う必要があるいくつかのルールを設定しました。
安全運転管理者は、アルコール検知器の取り扱いに十分注意し、取扱説明書に従う必要があります。
- 飲酒していない人が息を吹き込んだときにアルコールが検出されないか
- アルコールを散布したときに正確にアルコールが検出されるかどうか
などもテストする必要があります。
アルコールチェックをしないと罰則はある?
運転手がアルコールチェックをしないと、安全運転管理者が責任を問われます。現状、直接的な罰則はありませんが、公安委員会によって、解任、場合によっては命令に従わないことに対する罰則を与える可能性があることを覚えておくことが重要です。
飲酒運転をした場合、運転者と代表者が、5年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
アルコールチェック義務化に伴う安全運転管理者の選任
一般に、安全運転管理者がアルコールチェックを実施する責任があります。不在の場合は、副安全運転管理者または安全運転管理者の職務を補助する者が代行することもできます。
座席数が11席以上の車両、またはトラックなど、その他車両を5台以上所有している場合は事業所ごとに1名安全運転管理者を割り当てなくてはなりません。
さらに、以下2点も必要項目になります。
- 選任後15日以内に所轄の警察署に届け出
- 毎年安全運転講習会に参加
現時点で、安全運転管理者を選任していない会社は、アルコールチェック義務化に向けてまずは誰を管理者とするかを決めましょう。
安全運転管理者の選任条件
安全運転管理者の選任には条件があります。
安全運転管理者の条件は、以下の2点を満たしていることです。
- 年齢が20歳以上
- 運転管理の実務経験が2年以上
※公安委員会の認定を受けていいれば2年未満でも可
ただし下記の欠格条件に該当する場合は、安全運転管理者に選任することができません。
- 公安委員会の解任命令により解任されてから2年以内の者
- 次の違反行為をして2年以内の者
- ひき逃げ
- 酒酔い運転、酒気帯び運転、無免許運転、麻薬等運転
- 酒酔い・酒気帯び運転に関し車両・酒類を提供する行為
- 酒酔い・酒気帯び運転車両へ同乗する行為
- 自動車使用制限命令違反、妨害運転
- 次の違反を下命・容認して2年以内の者
- 酒酔い・酒気帯び運転、麻薬等運転、過労運転
- 無免許・無資格運転、最高速度違反運転、積載制限違反運転、放置駐車違反
参考:大阪府警察HP
安全運転管理者の業務
安全運転管理者の業務については、道路交通法施行規則第9条の10にて定められています。
具体的な業務は下記の8つです。
- 交通安全教育
- 運転者の適性などの把握
- 運行計画の作成
- 交換運転者の配置
- 異常気象時等の措置
- 点呼と日常点検
- 運転日誌の備付け
- 安全運転指導
参考:警察庁 「事業所の時間の取組強化!」
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/img/ankanleaflet.pdf
\制度の基礎から対応方法などを解説!/
アルコールチェックの実施手順
実際のアルコールチェックの実施手順を説明します。
運転開始前後、1日2回確認が必要で、チェックの方法としては以下のとおり3つあります
- 対面による確認
安全運転管理者と運転者と対面し顔色、匂いを確認します。
- スマホなどによる確認
事業所を経由しない直行直帰や遠隔地での業務を行っている場合、スマホを使用し、安全運転管理者が運転手の顔色や会話のやりとりで確認してください。
- アルコール検知器で確認
アルコール検知器へ息を吹きかけることでチェックします。
アルコールチェック対象者
仕事で車を運転している場合は、アルコールチェックを受ける必要があります。
これは、仕事関連で個人で所有している車を使用する場合でも適用されます。社有車、レンタカー、持ち込みの私有車に関わらず、業務を行う車両は全てアルコール検査と記録の対象となります。
今回の法改正では、車を仕事で使用しない人は、アルコールチェックを行う必要はありません。
アルコールチェックに必要なもの
2023年1月現在ではアルコール検知器の使用が義務となっていませんが、将来的には間違いなく義務となります。アルコール検知器の準備を少しずつでもはじめていきましょう。
アルコール検知器には国家公安委員会が定める以下の定義があるので、購入前に確認するようにしましょう。
- 呼気中のアルコールを検知できる
- 警告音や警告灯、数値などで示す機能がある
- アルコールインターロック装置(アルコールを検知してエンジンが始動できないようにする装置)も可
アルコールチェックの記録方法
アルコールチェックの結果は記録し、1年間保管しなければなりません。
記録方法として下記のものがあります。
- ノートに記帳
- エクセルの記録表
- アプリやクラウドなどのITツールを利用
日々の記録、保存(1年間)することを考えると、ノートよりは、エクセルの記録表やアプリなどを活用した方が負担は少なくなるでしょう。
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まとめ
本記事では、アルコールチェック義務化について説明しました。
2023年1月時点ではアルコール検知器の使用が義務化となっていませんが、いつから施行しはじまるかこまめに情報をチェックしましょう。
車は人が「持てない重い荷物を速いスピードで」届けることができる便利な機械です。しかし、一歩取り扱いを間違えると重大な事故につながる可能性もあります。
日頃から安全運転を意識すると同時に、車を使用する事業者の場合は、法律への対応の準備も進めていく必要があるでしょう。